送南風(おくれまぜ)とは?

処 暑:令和5(2023)年 8月23日

 陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也 [暦便覧]

◇処暑の気候は?

処暑は暑さが止むと言う意味。朝夕は心地よい涼風が吹く頃だが、台風のシーズンでもある。朝の風や夜の虫の声に、秋の気配が漂い出すころ。

◇処暑の動植物・自然現象などは?

・綿花……綿の木は7月から8月に花を咲かせた後、蒴果(さくか)と呼ばれる実をつける。その実がはじけて、ひとつの実からいくつか現れる白い繊維がコットンボール、種を包んだふわふわの綿花だ。綿の柎が開くころとは、実がはじけ、いよいよ綿花を摘む時期のこと。綿花の中に入っている種を選り分け、綿毛だけにしてから綿打ちをして綿をほぐし、糸を紡ぐ。

・きんえのころ……ねこじゃらしの名前で親しまれているえのころぐさの一種に、きんえのころがある。えのころ、とは子犬のしっぽのようだからついた名前。秋の日が金色の穂にあたり、風に揺れる野は、懐かしい子どものころの遊び場。

・百合……暑さが最も厳しく、花の少ない8月に重宝するのが百合の切り花。生花店で販売されている百合は「オリエンタルリリー」と呼ばれる「カサブランカ」や、和の雰囲気が(りん)として美しい「テッポウユリ」などが一般的。花粉は服や壁につくとなかなか落ちないので、粉状になる前にそっと指でつまんで取っておこう。花言葉は、純粋、無垢(むく)

・胡蝶蘭……野生種だけで約3万種近くあるという蘭の中でも高貴な美しさを持つ胡蝶蘭。高温多湿でも品質が安定していて花持ちがよく、色も豊富。花粉や香りが少なく、相手を不快にさせないことから、ブライダルや贈答用に人気だ。花言葉は、純粋な愛、清純、幸福が飛んでくる。

・ハイビスカス……朝に開花し、夕方にはしぼみ、時間がたつとガクからぽとっと落ちるハイビスカス。切り花としてではなく、鉢物として販売さえる。ちなみに酸味のあるハイビスカスティーの原料は、このハイビスカスではなく、「ローゼル」という植物の花や実を乾燥させたもの。ローゼルも学名にハイビスカスとつくことから、そう呼ばれている。花言葉は、繊細な美、新しい恋。

秋桜(コスモス)……キク科で原産はメキシコの高原。日本に渡米したのは江戸末期で、明治時代に広く普及した。園芸用に品種改良されたものは草丈40センチメートル程だが、野生種は2メートル以上になるという。花言葉は、調和、謙虚、乙女の純真。

・まつむし……チンチロリンと鳴く声が、歌にも歌われるまつむし。すずむしと並んで、秋に鳴く代表的な虫だ。平安のころ、山野で虫を捕ってきて鳴き声を楽しむ虫選(むしえらみ)や、飼っている虫の鳴き声を互いに競い合う虫合(むしあわせ)などの遊びがあった。

送南風(おくれまぜ)……処暑のころに吹く風。お盆の精霊(しょうりょう)を見送った後に夏の終わりを告げるように吹く南風のことをいう。

[参考:旬のカレンダー 旬の暮らしをたのしむ会]

◇処暑の食べ物は?

無花果(いちじく)……江戸時代に入ってきた無花果は、初めは薬草だったそう。旬は8月の終わりから10月にかけて。実の中に花を咲かせるために「花の無い果実」と思われていたことからこの漢字になった。6千年前から栽培されたといわれ、旧約聖書に登場するアダムとイヴは無花果の葉の腰ミノをつけたと記されている。

・すだち……酸味が強すぎず、さっぱりさわやかなすだち。旬は8月、9月。特産は徳島で、鍋物によし、焼き魚によしの、食欲を誘う香りと酸っぱさ。ビタミンCもクエン酸も豊富で、肌の美容にも良い。疲労回復やかぜの予防にも一役買う。豚肉や鰯、さんまととくに好相性。また、すだちのやさしい香りはポン酢にもよく合う。すだちの果汁を搾って布で濾したら、しょうゆと1対1で混ぜ合わせ、お酢とみりんを少々加えると、自家製ポン酢の出来上がりだ。

・ぶどう……甲州、巨峰、ピオーネ、甲斐(かい)(じ)、マスカット、デラウェア……。さまざまな品種のあるぶどうの旬は8月から10月。中でも日本で古くから栽培されてきた甲州種は、白ワインにすると、和食とよく合う。みずみずしいぶどうの甘みは吸収されやすく、すばやく疲れを癒してくれる働きがあるそう。選ぶときは、軸がしっかりとして実の表面に白い粉がついているものを。

・かさご……とげだらけの見た目と裏腹に、かさごは上品な味わいの白身魚だ。旬は夏。刺身にしても焼いても煮ても美味な上に、塩焼きの残り身に熱い湯をかけて(こつ)()にしたり、アラでだしをとって鍋物やみそ汁にしたり、一尾で二度も三度も楽しめる。

(いわし)……暑くなるにつれて脂がのり、おいしくなる鰯。旬は6月から10月。新鮮なものを握りや刺身、なめろうでいただくと旬を感じる青魚だ。また、寒い季節の鰯つみれ汁もたまらない。調理のときは、開きや切り身は洗わないで。身からおいしさがにげてしまう。

[参考:日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―]

 [参考:絵で楽しむ日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候]

◇季節のことば [茶道手帳 令和5年版]

道祖神(どうそじん)   秋風(あきかぜ)   秋日和(あきびより)(あきびより)   蟋蟀(こおろぎ)()(こおろぎ)  小萩(こはぎ)   稲妻(いなずま)   (き)綿(きせわた)   野菊(のぎく)   (くず)(くずはな)  吟風(ぎんぷう)

◇季節を感じてみよう

・バーベキュー……遠くへ出かけなくても手軽にガーデンパーティができるバーベキュー。本来は炭火で焼くが、最近は近隣へ配慮して煙の出にくいホットプレートを使う家庭も増えている。手ぶらで行けるバーべキュー場もおすすめだ。

地蔵(じぞう)(ぼん)……地蔵菩薩の縁日のころ、京都や大阪など関西を中心に行われる行事。こどもを守る仏様であるお地蔵様に感謝し、子どもたちの無事な成長を祈るために町ごとの規模で行われる子ども主役の小さな祭。

伊奈(いな)(つな)()……空中に張りめぐらされた綱の上で、花火に仕掛けた人形や船を操って芝居を演じるのが、伊奈の綱火。最後には、花火を点火するという趣向で、国指定重要無形民俗文化財とされている。茨城県つくばみらい市の祭で二流派により開催され、8月23日は高岡愛宕神社の高岡流、24日は小張愛宕神社の小張松下流。

・吉田の火祭り……北口本宮冨士浅間神社と諏訪神社の秋祭であり、そして、富士山のお山じまいの祭が、吉田の火祭りだ。8月26日の鎮火祭と、27日のすすき祭りの2日間に渡る。神輿を担いで富士吉田のまちを練り歩いてからが圧巻。富士山の登山道に松明(たいまつ)がともされ、市中が炎に染まる。日本三奇祭のひとつというのも納得。火をともし、そして鎮め、富士山の登山シーズンを無事に終えることに感謝を捧げる。

・大曲の全国花火競技大会……毎年8月第4土曜日に、日本でもっとも大規模な花火大会が、秋田県大仙市の大曲で開かれる。2010年には百周年を迎えたほどの歴史を

・二百十日……二百十日は雑説のひとつで、立春から数えて二百十日目。台風がやってくる日とされている。各地で無事を祈る「風祭(かざまつり)」が行われる。

・涼み舟・納涼床……川をゆっくりと行き交う舟に揺られ、涼をいただく涼み涼は、暑い季節の夜の楽しみだ。屋形舟に集い寄り、宴の席をもうけて旬の天ぷらなどを味わい、おいしいお酒に酔いながら、夜風にあたるのも風流である。また京都では、鴨川や貴船、高雄などの川辺に床を出し、涼をいただく納涼床も。川の流れをそばに感じて、京料理を楽しむひとときだ。

[参考:日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―]

★ 児童厚生員 はがてぃ のおすすめあそび♪【季節感のないものもあるよ】★

◆おすすめのあそび

◇「かくれんぼ」

・歴史

現代の一般的な「かくれんぼ」の元となる遊びは、中国から伝来したと言う説もある。古く中国では宮廷内で行われていた「迷蔵」と呼ばれるかくれんぼに似た遊戯(儀式的だった可能性もある)が行われていたそう。
そして日本には平安時代以前に伝わったと言われている。最初は山に女性が隠れ、恋人の男性がそれを探しに行くという他愛もない遊びだったようだ。現在知られるような子どもの遊びとしての「かくれんぼ」が全国に広まったのは江戸時代と言われている。

[参考:日本かくれんぼ協会]

・遊び方

① 鬼を1人決める。

② 鬼の「もう、いいかい?」に対して、子は「ま~だだよ」と応えながら、物陰に隠れる。

③ 鬼は隠れている子どもをみつけ「○○ちゃん、みつけた」と言う。

④ 隠れた子を全員みつけたら鬼の勝ちで、最初にみつかった子と鬼を交代する。

⑤ 全員みつけることができずに鬼が降参したら、最初からやり直す。

〇 工夫してみよう

・鬼の人数を増やしてみよう。

・慣れてきたら、「缶けり」や「ポコペン」や「どろけい」に発展させてみよう。

〇 ここに注意

・壁と壁の隙間や高いところなど、危険な場所に隠れるのは止めよう。

・隠れてよい範囲を決めよう。例えば、交通量の多い道路を挟んだ範囲を設定するのは止めましょう。

[参考:JSPO]

◆おすすめボードゲーム(カードゲーム)

◇「それはオレの魚だ!」……2~4人用。対象年齢8歳以上。プレイ時間約20分。

  • ゲームの概要

おい!それはオレの魚だ!と思わず叫んでしまうこのゲーム。
自分のペンギンを誘導して一番多くの魚を集めた人の勝ち!

〈準備〉

はじめに六角形のタイルをよく混ぜる。
混ぜたタイルを横に8枚並べる。次に今並べた8枚の上に7枚並べる。
これを繰り返し、8段の列を作る。
この時1,2,3匹の魚のタイルが満遍なく混ざる様に注意しよう。

次に自分の色のペンギを手元に置く。
プレイ人数によりペンギンの数が異なる。
2名→4匹
3名→3匹
4名→2匹

適当な方法で順番を決めたら、最初の人から順番にペンギンを1匹ずつタイルの上に置く。ペンギンを置く時のルールは以下の2つ。
❶魚が1匹のタイルの上
❷他のペンギが置かれていないタイルの上

すべてのペンギンが置かれたらゲーム準備完了。

〈遊び方〉

適当な方法でスタートプレイヤを決めたら、以降時計回りでゲームを進行する。
手番プレイヤは、まず初めに自分が動かすペンギンを1匹決める。
動かすペンギンを決めたら、そのペンギンがいるタイルの場所を覚えておこう。

次にペンギンを動かす。ペンギンを動かす時のルールは次の3つ。
❶今乗っているタイルと隣接する6方向のうちのいずれか1方向に好きなマス分真っ直ぐに動かす。途中で曲がる事は出来ない。
❷進路上にいるペンギン(自分の色も含め)を飛び越える事は出来ない。従ってペンギンがいる場合はその一つ手前のタイルまでしか進めない。
❸ペンギンは地続きのタイルしか移動できない。誰かにタイルを取られてしまい、空白地帯があった場合はその一つ手前のタイルまでしか移動できない。

ペンギンの移動が完了したら、元居たタイルを取り、自分の手元に置く。手元に置いてあるタイルに描かれている魚の数があなたの得点になる。

もし、自分の番に動かす事の出来るペンギンが居ない場合、あなたの手番はパスされる。

〈ゲームの終了〉
すべてのペンギンが動けなくなったらゲーム終了。
最後に、今ペンギンが乗っているタイルを手元に置き、すべてのタイルの魚の数を合計しよう。魚の数が最も多い人が勝者だ!

[参考:ボドゲーマー]

◆おすすめのぬりえ

「大人のぬりえ」…「処暑」

ぬり絵を通して日本の四季を深く知る事ができる。心と身体のバランスを整える効果もあり。1日15分、楽しく自由にぬるとよい。          

[自律神経を整えるぬり絵 日本の二十四節気をぬる]

[はがてぃの作品を紹介!] ~色鉛筆~