祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ、祝日っていつ?

秋 分:令和5(2023)年 9月23日

◦ 陰陽の中分となれば也 [暦便覧]

◇秋分の気候は?

秋分は昼と夜の長さがほぼ同じで、暑い日が減り代わりに冷気を感ずる日が増える。

昼と夜の長さが同じ日には春分(3月21日ごろ)と秋分(9月23日ごろ)があるが、春分と秋分では気温に大きな差がある。これは、太陽の日の照らし方だけで気温が決まるのであれば同じになるのだが、地球上の空気が温まったり冷えたりするのに時間がかかることによる。そのため、冬から迎える春分の日より、夏から迎える秋分の日の方が気温が10度以上も高くなる。この日を境に秋の夜長を実感していく。

秋の七草が咲き揃う頃。果物、秋の野菜、魚と食べ物がおいしくなってくる実りの季節。日本では古くから農事の日としての意味合いも秋分の日には込められていて、農作を祝い、感謝を捧げ、田の神様を祀る儀式がこのころに。

◇秋分の動植物・自然現象などは?

彼岸(ひがん)(ばな)……1本の茎に6つほどの赤い花が咲き、空へ向かうようにめしべ、おしべを伸ばし広げる彼岸花。開花はまさに秋のお彼岸のころ。曼殊沙(まんじゅしゃ)(げ)とも呼ばれるが、その意味は、天に咲く赤い花。水に晒して毒抜きした根は、飢饉の非常食だった。

・紫苑……背の高い2メートル近くにもなる草から、紫の花びらに中心が黄色い花を咲かせる紫苑。平安時代から薬用や鑑賞に親しまれてきた。紫苑という色の名前にもなり、紫苑の着物の描写が、枕草子に登場する。開花は8月から10月。中秋の名月のころに咲き、別名を十五夜(じゅうごや)(そう)という。

金木犀(きんもくせい)……つやつやした常緑の葉に、橙色をした小花がたくさん咲きはじめるのは、9対下旬から10月上旬。手のかからない金木犀はすくすくと育ち、小鳥が舞い来ては遊んでいく。九里先まで香るという意味で「(きゅう)里香(りこう)」の異称もある通り、近くを通りかかると、ああ金木犀がさいているな、とわかるほど、甘い香りが特徴的。

・虫の冬支度……虫が早くも冬ごもりの支度を始めるころ。「蟄虫啓戸(ちっちゅうとをひらく)」で姿を現した虫たちが、再び土の中へ戻っていく時季とされる。紋白蝶(もんしろちょう)(あげ)()蝶の幼虫は(さなぎ)になって寒さに備え、天道虫(てんとうむし)鍬形(くわがた)(むし)は、成虫のまま木の根元や土の下に潜る。蟷螂(かまきり)蟋蟀(こおろぎ)は卵を産んで次の年へと新しい命をつなぐ。実際にはもう少し寒くなってからだが、昔の人はこの時季以降に(へび)などを見かけると「穴惑(あなまど)い」といって、帰る巣を迷っているものと考えていたとか。

[参考:絵で楽しむ日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候]

(うろこ)(ぐも)(いわし)(ぐも)(さば)(ぐも)……気づけば、高い秋空。鱗雲や鰯雲、鯖雲が現われる。鰯雲が姿を見せると、鰯が大漁の兆候とか。鯖雲は、鯖の漁期に出る雲とも、雲の文様が鯖の背中の斑点のようだからともいわれている。

野分(のわけ)……秋の暴風、野の草木を分けて吹きすさぶ「野分に風」からきたといわれる言葉。台風も含むが、秋に吹く強風をいうことも多い。野分が過ぎた後の、抜けるように澄んだ青空を野分(のわけ)(ばれ)と呼ぶ。

[参考:日本のしきたり和のこころ ―歳時記に込められた知恵とたしなみ―]

◇秋分の食べ物は?

・はぜ……大きく育つ秋から冬が旬のはぜ。秋分のころに型が大きく味がよくなるものを彼岸はぜ。晩秋から初冬にかけて、産卵のため深場に移動したものを落ちはぜと呼ぶ。江戸前天ぷらの代表的なネタ。隅田川や佃島などでは、釣ったはぜをその場で天ぷらにする、はぜ船が行き交う。夏などにとれる小ぶりのできはぜは、唐揚げに。

・さんま……2021年、アクアマリンふくしまで世界で初めてサンマの水槽内繁殖に成功しているが、サンマは取り扱いが非常に難しく、養殖の拡大には課題も多い。よってほとんどが国産の天然物、というさんま。夏から秋が旬で、塩焼きは絶品の秋の味だ。刺身で食べるようになったのは、比較的最近のこと。良質なたんぱく質や脂質、血液をさらさらにするDHAなどが豊富だ。選ぶときは、ピンと皮が張り、背が青黒く光っているもの、黒目のまわりが透明なものを。口先が黄色いのは、脂がのっているしるしだ。

[参考:農林水産省、日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―]

・とらふぐ……下関市南風泊港のふぐの初せりは、秋の風物詩。旬は鍋の季節、産卵前の冬だ。淡白にして、旨味がぎゅっと詰まった味わい。ふぐ刺、ふぐちり、焼きふぐ、唐揚げ、白子……。いずれもうっとりするほどのおいしさだ。毒を取り除いた身欠きを買うが、身が白く透き通っているもの、つやがあるものを。

松茸(まつたけ)……香りのよさが万葉集にも歌われるほど、古くから愛されてきた松茸。旬は9月半ばから11月初め。その香りは食欲を誘い、がん予防にも働きかけるとか。松茸ごはんにするときは、炊き上げる直前に松茸を入れる。加熱しすぎると香りが飛んでしまうので。

里芋(さといも)……稲作よりも古く、縄文時代後期より以前から日本に入ってきていたという里芋。農作に感謝する芋煮会などの行事が、古来秋に各地で催されてきた。旬は8月から10月。

銀杏(ぎんなん)……イチョウの葉が黄色く染まり、丸い実をつける。熟した実が落ちて、あの特有の匂いがする外皮を除くと、固い殻に包まれた果肉が出てくる。それが銀杏。殻をむいて、塩茹でや塩炒り、あるいは茶碗蒸しなどに。旬は9月下旬から11月。

[参考:農林水産省、日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―]

◇季節のことば [茶道手帳 令和5年版]

名月(めいげつ)   (みね)(つき)   松虫(まつむし)   (いな)(すずめ)   武蔵野(むさしの)   宮城野(みやぎの)   刈萱(かるかや)   御所(ごしょ)(がき)   落穂(おちぼ)

◇季節を感じてみよう

・秋分の日……祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。国民の祝日。

日本の祝日を定めている「国民の祝日に関する法律」によれば、春分の日は「春日」、秋分の日は「秋分日」を採用するとされている。「春分日」「秋分日」というのは天文学上の呼び名で、次のように定義されている。

太陽は星々の間を移動していて、その通り道を「黄道」という。また、地球の赤道を天にまで延長したものを「天の赤道」という。黄道と天の赤道は、お互いが傾いているために2点で交わり、その交点のうちの一方を「春分点」、もう一方を「秋分点」と呼ぶ。そして、太陽が春分点・秋分点の上を通過する瞬間がそれぞれ「春分」「秋分」と定義され、「春分」「秋分」を含む日のことを、それぞれ「春分日」「秋分日」と呼ぶ。

「秋分の日」は、二十四節気の秋分に入る日をさしている。太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、「此岸と彼岸が最も通じやすい日」と考えられたことから、この日に西に向かって拝むと、功徳が施されるとも信じられた。それから、秋分の中日を中心に供養を行うようになったという。国民の祝日に関する法律で「祖先をうやまい、なくなった人をしのぶ」という趣旨になっているのは、お彼岸にお墓参りをする風習を踏まえているからだ。

[参考:内閣府HP/国民の祝日について、©国立天文台]

・稲刈りが始まる……田んぼの水を抜いて乾かし、稲刈りに備えるころ。いよいよ収穫の時季。稲刈りの前に田んぼの水を抜くことを「落し水」という。刈り取られた稲は水分が多いため、稲木(いなぎ)稲架(はさ))にかけ、天日干しに。これは「稲木干し」「稲架掛け」などと呼ばれ、刈田に広がる秋の風物詩のひとつだ。機械化する前は子どもたちも手伝っていたため、農村地域では学校が休暇になる「稲刈り休み」も一般的だった。

[参考:絵で楽しむ日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候]

・秋の(しゃ)(にち)……秋分の日にもっとも近い(つちのえ)の日を、秋の社日という。(春分のころにも同様に春の社日がある)。春に山からやってきて、作物を実らせてくれた田の神様が、秋に山へ帰る日とも。土地の産土(うぶすな)(かみ)を祀る社へ豊作を祈り、感謝するお参りに行く。

・中秋の名月……旧暦8月15日の月を中秋の名月という。(ただ、必ずしも満月とは限らない。)

またちょうど里芋の収穫の時期にあたり、(いも)名月(めいげつ)と呼び、豊作への感謝を込めて芋をお供えするならわしも。満月の前後の呼び名は、十三夜(じゅうさんや)小望月(こもちづき)十五夜(じゅうごや)十六夜(いざよい)立待(たちまち)(づき)居待(いまち)(づき)寝待(ねまち)(づき)更待(ふけまち)(づき)という。一夜一夜の月に名をつけるほど、月が身近に、愛でたい存在としてあったのだろう。また、十五夜が雲に隠れて見えないことを無月、雨が降ることを雨月と、雲の向こうの満月を呼びならわした。

今年(2023年)の中秋の名月は 9月29日で、満月である。

・ずいき祭……ずいきとは里芋の茎のこと。野菜や乾物などで飾りつけしたずいき御輿(みこし)を奉るなど、秋の収穫に感謝を捧げる祭だ。千年以上の歴史を持ち、京都の北野天満宮で毎年10月1日から5日に開かれる。

(はな)(うま)(まつり)……鞍から花飾り(細長い竹ひごに色紙をつけたもの)を広げた3頭の木曽馬が、笛や太鼓とともに神社へと行列をなして練り歩く祭。豊作や家内安全を祈る。10月1日、長野県南木曽(なぎそ)町の五宮(いつみや)神社にて。

・衣替え……平安時代の宮中では、旧暦の4月1日と10月1日が更衣の日。10月は「後の更衣」と呼ばれ、夏装束から冬装束に改める日だった。現在も和服は単衣から、裏地のついた(あわせ)に。

学校等の制服も明治時代以降、この日を境に冬服になる。かつては、制服といえば男子生徒は学ラン、女子生徒はセーラー服というイメージだったが、ここ数年で制服にも多様性や個人の尊重という観点が加わり、制服の無い学校や、性別を問わないブレザータイプの制服を選択する学校が増加している。

[参考:日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―]

★ 児童厚生員 はがてぃ のおすすめあそび♪【季節感のないものもあります】★

◆おすすめのあそび

◇「ジェンガ」……1人以上。対象年齢6歳以上。バランスゲーム

〈歴史〉

1974年にイギリス人のレスリースコットという女性が開発し,1983年にロンドンで発売されたのが最初とされている。日本では1980年代に発売された。「ジェンガ」という言葉の意味はスワヒリ語で「組み立てる」を意味しているとのこと。

〈ルール〉

① 縦横3本に組み上げた18段のタワーの状態から開始。ブロックは片手で抜き取る

② 1番上の段(未完成の場合も含む)と、その下の段のブロックは抜くことができない

③ 抜き取ったブロックは、タワーの一番上に置く(ブロックは1段に3本ずつ載せる。どこから置いてもOK)

④ タワーが完全に崩れるか、タワーからブロックが落ちてしまったら、ゲーム終了。崩してしまった人の負け

☆ 遊びのコツ ~あまり知られていない真実~

それは、「ブロックはそれぞれ微妙に厚みが違う」ということ。

一見ブロックはすべて同じに見えるが、ブロックによってはほんの少しだけ大きさが違うので、抜けやすいブロックと抜けづらいブロックがある。そのため、『色んなブロックをつついて、動かしやすいブロックを探す』というのが、ジェンガで安定して勝つコツになる。

☆ ジェンガの様々な遊び方

 ・時間制限を設けてあそぶ→ドキドキ感アップ

 ・利き手以外を使用→ぎこちなさが楽しい

 ・「ジェンガミニ」、「ジェンガジュニア」、「ジェンガでブロック」など関連商品もある

 ・組み立て式「ジャンボジェンガ」はイベント向きでよかった(が廃盤に…)

[参考:行先は在庫あり、ぼくボド]

◆おすすめボードゲーム(カードゲーム)

◇「はあって言うゲーム」……3~8人用。対象年齢8歳以上。プレイ時間約15分。

お題カードに書かれた様々な表現を演じて、それを当ててもらうことを目指すコミュニケーションゲーム。

  • セット内容:アクトカード:8枚/お題カード:28枚/投票用カード:8枚/7投票チップ:64枚(8枚×8種類)/得点チップ:48枚/説明書:1部

〈事前準備〉

・各プレイヤーに投票用カード、投票チップ8枚、アクトカードを配る。

・アクトカードには「A」〜「H」が書かれている。お題カードが変わるたびに配り直し、各プレイヤーがお題カードの、どのシチュエーションを演技するかが決まる。

〈ルール〉

①場にふせておいたお題カードを1枚めくる。

②手番では、お題カードに書かれた表現を演技する。お題カードには8種類のお題が書かれていて、「アクトカード」に書かれたアルファベットのお題を演技する。

③手番以外のプレイヤーは、テーマカードの中のどの演技をしているかを予想する。予想は、投票用カードの上に投票チップを置くことで行う。その際、投票チップは裏向きにして配置する。

〈ゲーム終了〉

1つのお題カードに関して全プレイヤーが演技を行ったあと、順に投票チップを公開して答え合わせをする。

〈得点計算〉

正解したプレイヤーは「1点」を獲得、演技したプレイヤーは「1点×人数分」を獲得。

合計得点の最も高いプレイヤーがゲームに勝利。

〈ポイント〉

演技力・表現力が試されるゲームなので、間・表情・声のトーンなどから正解を探す。

他の人の演技に悩むし、お題にもよるが自分が演技するときのさじ加減もなかなか難しいので通じたときはめちゃくちゃ嬉しい。この辺の面白さは、対面で遊ぶアナログゲームならではの良さだ!

普段ゲームを遊ばない方や初めて会った方とのアイスブレイクに良い。

[参考:ニコボド]

◇おすすめのぬりえ

「大人のぬりえ」…「9月」ダリア、イヌタデ、ススキ、オミナエシ

ぬり絵の効果は無限大!脳と自立神経に働きかけ、ストレス解消にもおすすめ。

[脳が若返る、自律神経が整う、心が癒される12カ月の花々のぬり絵]

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