楽さんのエンタメ語り<番外編>コーヒー焼酎

行きつけのバーのマスターに自宅では何を飲んでいるのか。興味本位で聞いたことがあった。シングルモルトやバーボンの銘柄を想像していたんだけど。彼の口から出たのは「コーヒー焼酎」だった。一度味を知ったら病みつきになるというのだ。2リットルで二千円しない安価な甲類焼酎にローストしたコーヒー豆を入れて漬け込み1週間ほど放っておくだけ。それで出来上がるのだと教えてもらった。
そんな会話も忘れかけていた頃、出張先で入った飲み屋で偶然にもコーヒー焼酎を見つけて試した。しかし、お世辞にも旨いと言える代物ではなかった。本当にコーヒー焼酎は美味しいものなんだろうか。やはり自分で作ってみないと納得できないと思い。東京に戻ったその週末に焼酎とローストしたコーヒー豆を手に入れ、バーボンの空き瓶4本分の仕込みを終えた。

3日ぐらいで、透明だった焼酎が琥珀色に変わり、5日が経とうとする頃には浮いていた豆が底に沈み始めた。7日目に、いよいよ試飲してみた。やっぱり雑味と薄っすらと表面に浮いた油分が気になった。
そこで、ドリップ用のペーパー・フィルターを使って油分を取り除けるか試してみた。これが大正解。油分と共に雑味も消えて。口当たりの滑らかさと微かに甘みが感じられるようになった。ただ、もう少し珈琲の薫りを楽しめないものか? さらに時間をおく。しかし、あまり変化はなかった。これはこれで完成の域だったのかもしれないが。2回目の仕込みでは、より深煎りしたコーヒー豆に変えることにした。これが見事にハマった。かくして、風味は豊かに、苦みと甘みのバランスが良く、雑味のないクリアなコーヒー焼酎が完成。マスターが言っていたように、まんまと病みつきになった。