以前、法話で聞いたお話をご紹介します。
真珠は、「アコヤ貝」から生まれるものだということは皆さんご存じかと思いますが、
真珠には、もう一つの物語があるということを知りました。
それは人工パールという世界のお話です。
真珠には、もう一つの名前があって、「真珠の涙」ともいわれるそうです。
「真珠の涙」というと、とてもロマンティックなイメージがしますよね。
人工真珠が出来るまでのプロセスというのは、実に手がかかるものです。
大きく成長した真珠の母貝の「アコヤ貝」を海から引き揚げて、
その貝の殻を少しこじ開けて、中に小さな石粒のようなもの(真珠核)を入れます。
そして、その貝を籠に入れて再び海に戻します。
アコヤ貝からすると、体に入れられたものは、不自然な「異物」になります。
もし、人間だったらどうでしょう?
想像してみてください。
自分の体の中に無理矢理、こぶし程の異物が入る感覚、それは痛くて苦しいですよね。
アコヤ貝は、海中で動くたびに、異物が柔らかい内蔵にあたる痛みを感じていると想像するだけでも痛みが伝わってくるようです。
吐き出すことものできないアコヤ貝は、どうするのか?
そこで貝は、この痛みを和らげるために、殻を大きくする成分をこの小粒の真珠核に巻き付けて、幾層にも幾層にも巻き付けて、この核を自分と同じ体質にしようとするそうです。
この時に貝が流した成分、流した涙の成分が美しい「真珠」の誕生に繋がる、というお話です。
「貝がどうして苦しんでいるのか、どうしてわかるの?」
と思う人もいるかもしれませんが、この異物混入の痛みに耐えられず、数か月で半数程の貝は死んでしまうということなのだそうです。
普段なにげなく見ている真珠、身に着けている美しい真珠の誕生の裏には、このようはストーリーがあるとは思いもせずに過してきました。
心を癒す程の優しい輝きからは想像できませんよね。
涙の成分でできた真珠から放つとても優しく美しい光、愛おしく思えてなりません。
私はこのお話を聞いて、思ったことは、、、、
人の人生にも苦しみや辛いこともあります。
人それぞれ大きな異物のようなもの、耐えがたいものを抱えています。
涙を流しながら、それらの問題を乗り越え、山あり谷ありで生きていく、
自分の未完了な問題も、「今ここ」で前を向いて歩いていく決心をすれば、
それも生きる力になりますね。
アコヤ貝の涙のように、流した涙の数だけ輝く自分になれる、リソースも増えます。
NLPの考え方に、
「過去から得られた経験は、未来に活かされる」という考え方があります。上手くいかないことがあってネガティブな感情を抱えて苦しい時はあります。
そういう時は、自分に問いかけてみるのもいいでしょう。
その経験からしか得られない「気づき」があるとしたら、どんなこと?
そして、もし輝かしい未来が自分にあるとしたら、今ここでどの様な工夫が必要なのか?
自分の中から出てきた言葉は、まるで真珠を輝かせるための涙のようにしっかり自分をコーティングしてくれます。
良い言葉は、輝きを放つ人生を創ってくれます。
過去や今現在流している涙は、いつか真珠のような美しい輝きの素になるはずです。
アコヤ貝のように、生きるために痛みの事実を受け入れながら、未来に向けて「適応」していく。
それが、幸せになる秘訣なのではないでしょうか?
(すだっち)