突然ですが、
中国の故事「人間万事塞翁が馬」(淮南子)ということわざはご存じですか?
中国の北方「寒(とりで)」に占いが得意な老人(翁)が住んでいました。
ある日、その老人が飼っていた馬が逃げてしまいました。
その様子を知って、人々が老人を慰めに行くと、老人は、「このことは幸いになるかもしれない」と言いました。
すると数か月後、逃げた馬は大そう立派な雌馬を連れて帰ってきました。
そこで、老人はまた人々に「これは禍になるかもしれない」と言いました。
そしてある日、老人の息子は雌馬から落ちて足の骨を折ってしまい、人々はお見舞いに出かけると、老人は「これは幸いになるだろう」と言いました。
その翌年、隣国との戦争が始まり、ほとんどの若者たちは戦死をしましたが、幸いにして老人の息子は足の骨折により、戦地に行かずにすんだので命を失うことはなかった、というお話です。
皆さんは出来事に対して、起きたことをそのままを受け止めて、物事の良し悪しを決定付けてしまうことはありませんか?
私の高校生時代の経験をお話しですが・・・。
毎年、この桜の時期になると、思い出す出来事があります。
辛うじて唯一合格した学校に行くことになった私は、浮かれ足立ちながら花の女子大生生活を夢見て高校卒業式を迎えました。
卒業式を終え、謝恩会で高校生最後の時間を楽しく過ごした後に、自宅に帰宅を伝える電話をすると、
「とにかく早く帰ってきなさい」という、母の今か今かと待ち構えていたか様な、焦りの口調の声が耳に飛び込んできました。
何が起きたかわからず慌てて帰ると、母が泣いていたのです・・・
どうやら、大学入学の手続きのミスをしたらしい・・・。
ガ~~~~~ン!!
私は言葉も出ず、ひたすらその非常事態にもちろん驚き、頭が真っ白になりました。
この突然起こった悲しい出来事・・・どう思われますか?
こんなことって、実際に起きるんだぁと思いました。
残念ながら、起きた事実は変えられません。
後には引けない訳ですから、その事実をどう受け止めるかしかありません。
NLPでは「リフレーミング」という考え方があります。
例えば、ある絵画のフレーム(枠)を変えると中身の絵画(事象)が今まで見ていたものと異なる印象を与えたり、受けたりすることがありますね。
また、メガネのフレームという表現をする時もありますが・・・。
いつもと違う角度で見るとか、別視点で見るとか、ある出来事を多方向から見ることを「リフレーミング」といいます。
「ものの見方を変える」という工夫で、どんな状況にもプラスの要素があるのだ、ということに気づきます。
起きた事に対して柔軟に捉え、リフレーミングによって新しい世界観が広がれば、選択肢も増え心も安らかになります。
選択肢が潤沢にあればあるほど、気持ちにも余裕が生まれ、脳はポジティブな活動を始めることができます。
視点を変えることで、新しい価値(リソース)を獲得できる、それが「リフレーミング」の最も素晴らしい結果です。
人が絶望する時、選択肢が尽きたとき、ともいわれます。
選択肢を多くするためには、「リフレーミング」はとても有効な考え方なのです。
その翌日、私は母と入学するつもりだった学校に行きました。
ルールはルールです。特別な対応などはありませんでした。
この事実は誰にも変えられるものではありませんでした。
幸いにも1度支払った入学金は特例で返金になりました。
それは1つの「幸運」です。そのお金で予備校に通うことができました。
冷静になってみると、本当は心から行きたい学校ではなかったな、と気づきました。
もう一度、志望校にチャレンジできるチャンスをもらえた訳でしたし・・・
そもそも不合格だった志望校と同じ沿線で乗り越して通うという、屈辱感を毎日味わらなくて良い訳だし・・・好きだった男の子も浪人も決定した後だったし・・・(笑)
たくさんの枠を変えてみたところで、マイナスの出来事からどんどんプラスの価値へと転じられたのです。
とても珍しい貴重な体験をしました。
起きたことに対して、自分の思考をどう関わらせるか?で感情も結果も変わるのです。
“意味付け”は如何様にもできるものです。
この経験は、NLPに出会う遥か前の出来事です。
最高の人生ってなんでしょう?
自分の人生は、自分自身の選択で開発したり展開することができます。
自分がどう受け止めるか?
受け止め方次第で未来への方向性は180度変えることが可能なのです。
老人は、常に起きた事実に対して、
「幸」と「不幸(禍)」を決めつけませんでした。
人は、とかく起きたこと(事象)に対して、マイナスかプラスか、はたまた、幸か不幸かを決めつけたがります。
老人に起きたことに対して、人々はあからさまに反応するだけでした。
賢い老人には、もの事には、常に二面性の意味合いを帯びていること、それが理解できていたのです。
皆さんの経験でも、何か思い当たる出来事などはありませんか?
例えば身近なもので、雨はいかがでしょう。
単純に「雨が降る」ということでも、いろいろな捉え方がありますよね。
危機的な水不足時の時は“恵みの雨”になり、婚礼の祝い事には‟雨降って地固まる”になる。また、美容においては、乾燥続きのお肌への潤い ・・・・
人の「行動」や「短所」にも言えることです。
ぜひ、この「リフレーミング」を上手に使って自分に起きた出来事に対してプラスの出来事へと変換してみて下さい。そのもの自体の価値が高まり、自分の心の地図も豊かになります。
NLPでは「肯定的」という言葉をよく使用します。
起きた事実は事実として、肯定的に受け止められるように・・・・
「リフレーミング」をぜひ、普段から実践してみてみることをおススメします。
皆さんも「リフレーミング」の達人になってみてください。
(すだっち)